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Hitachi

日立オートモティブシステムズ株式会社

project story 01

新しいシステム、新しい技術で、
次のクルマ社会を切り拓け。

運転支援システム『アイサイト』開発プロジェクト

1989年。株式会社SUBARU(以下、SUBARU)の運転支援システム、『アイサイト』の開発はスタートした。先行車や歩行者を検知して自動ブレーキ制御。安心と安全な運転を支援するためのシステムである。2016年11月時点で、世界累計販売台数100万台を突破し、その技術レベルの高さから車両購入ユーザの認知度も高まってきたアイサイトだが、開発プロジェクト始動当時は「技術課題と量産コストの両立は極めて困難」と言われ、多くのサプライヤが開発を見送りしていた。それでもなんとか新しいシステムを世の中に送り出し、新しいクルマ社会をつくりたい。SUBARUが白羽の矢を立てたのが、我々。日立オートモティブシステムズだった。

他社のどこにもできなかったことならば、自分たちにだってその開発は容易なことではないことが予想できた。しかしながら、社内の様々な部署に懸命に働きかけて、この開発企画を止めなかったのが、SUBARUから依頼を受けた営業担当者だ。このプロジェクトを行うことにどんな意義があるのか。なぜ我々がやらなければならないのか。彼の語る情熱に集まった者たちで、最初のプロジェクトチームは結成された。

クルマの開発・生産・販売に
かかわるものとして、
『安全』を考える責任があった。

プロジェクト依頼があった2003年頃。年間で約8,000人もの人が交通事故で24時間以内に命を落としているという現実がありました。クルマの開発・生産・販売に携わる者として、この数字は放っておけるはずもない。SUBARUからの「開発技術のポテンシャルとモノ作りに対する強い意志が必要」という熱い想いにも心を打たれ、何度も何度もビジネス提案モデルの企画を行ったのです。しかし社内は私の思惑とは裏腹に消極的。新しい技術開発チャレンジすることが好きな日立オートモティブシステムズと言えども、簡単に受け入れられる話はなかったのです。これまで経験のない開発に、「本当にできるのか?」という視線が向けられていました。当時はそれができるという何の保証もありませんでしたが、クルマのあり方を変えたい、自分たちに期待してくれたSUBARUに応えたい、という情熱だけで15人のプロジェクトメンバーを招集。最後には、この先行開発が認可され小さな組織で開発は始まったのです。

営業統括本部 第三営業本部 篠原 雅之

新たな製品がどんなものなのか。設計部には、ゼロの状態から構想を具体化していくことが求められていた。SUBARUへ議論しながら、社内で持てる技術を集めながら。プロジェクトチームの誰もが、設計担当者の「こういうものをつくろう」という決定を待っていたのだ。

初めての技術も、
情熱があれば自らの手で
形にしていける。

物体を感知するための2眼カメラの開発。人間の左右の眼のように、ふたつのカメラで物体を立体的に、より正確にとらえるというアイデアが肝となるプロジェクトでした。それまで私たちの中でも、センサーなどを用いた物体検知システムは開発経験があったものの、それをカメラで実現するのは初めてのこと。知識も経験も、誰もがゼロの中で、各部署代表のスペシャリストが集結し、持てる力を結集して試行錯誤を繰り返していきました。開発が進んだところで、SUBARUからの喜びの声、社内での認知度が徐々に上がっていくことを実感したときは、新しいものを自らの手で生み出している感覚を最も感じた瞬間だったように思います。

パワートレイン&電子事業部 電子設計本部
車載カメラ設計部 大角 謙

設計が定まったら、今度はそれを試作し、量産に向けた動きが開始される。どんな素材、どんな部品が最適なのか。各部署の望むあらゆる材料を、調達はかき集めることになった。それまで仕入れ経験のない、初めてのものであっても、取引先へ的確なオーダーを行わなければならなかった。

社内も社外も。
協力を得るコツは、
みんなで一体となること。

本プロジェクトが実現しようとしていたのは、私たちの中でも初めて、かつ特殊な製品であるカメラシステム。調達としても、素材や部品の選定にはとても苦労しました。そもそもどういった部品をどんな企業へ、どのように依頼すれば、プロジェクトチームが望む材料を揃えられるのかがわからない。手間も時間も大いにかかりました。当時徹底して意識したのは、社内と取引先企業との一体感です。単に部品を発注しているという意識でなく、取引先企業までも一緒に、まだこの世にないものを生み出しているのだという意識。社内だけでなく社外をも巻き込んで、みんなで一体となることが、このプロジェクトには欠かせないものでした。

調達本部 デバイス集約購買部 石塚 匠

ステレオカメラの開発に成功し、広く使ってもらえそうだと未来が見えたころ。世の中に出していくには、それがどれだけ安全なものであるかを確認することは必須だ。きちんと動作するか。走行状況にはどれくらい左右されるか。きちんとテストし、自分たちの製品に責任を持てるようにするのが、最後の砦、品質保証の大切な業務だ。

どれだけ技術が進化しようとも。
「絶対」がないのが、
品質信頼性検査。

最初は少数から。次は大々的に。ある程度アイサイトが世間に認知され、広く量産され始めた2012年ごろのタイミングで、本格的に品質信頼性試験に携わり始めたのが私でした。初めは無理だと言われていたプロジェクトで、本当に製品化を実現し、世間で広く知られるものとなっている。驚きとともに、諦めることなく情熱を燃やし続けたメンバーに頭が下がるばかりです。しかし販売台数が伸びていく分、そして製品が搭載される車種が増えて規模が拡大する分、品質信頼性としてテストを行う私たちの責任は大きくなるということも感じています。人の命にかかわることだから、品質信頼性検査に「絶対」はない。今後どれだけ製品が進化しようと、変わらずここを守り続けることが私の使命だと考えています。

PT&電子品質保証本部 佐和品質保証部
津野 孔志

技術は、社会におけるクルマのあり方を変えられるか。

2008年に製品として発表され、今や第3世代。世間への認知が広まるとともに、さらなる機能を搭載させ、アイサイトは進化を続けている。日立オートモティブシステムズが成し遂げたのは、単にこのシステムを量産化したという事実だけではない。クルマに搭載された技術で、すべての運転者が、より安心安全に運転することができる世の中をつくること。快適さや燃費のよさに加えて、「安全性」をクルマに求めるという社会全体の価値観の転換を生み出したことにほかならない。アイサイトプロジェクトはまだその一例である。日立オートモティブシステムズは最先端の技術で、社会におけるクルマの存在をさらによりよいものへと変えていくことができる。そう信じて、新たな挑戦が始まっている。

アイサイトとは?

SUBARUと日立オートモティブシステムズが共同開発した衝突被害軽減などを行う運転支援システム。人間の目と同じように左右2台搭載されたカメラにより、立体的に環境を把握し、対象物を正確にとらえる技術を実現した。